長野県「外来魚問題の意見交換会」、千曲川バス問題に関する報道(長野朝日放送「ABNステーション」)、およびその内容に対する意見書について

 長野県は琵琶湖を擁する滋賀県や、1999年12月28日より全国で初めてブラックバスを含む外来魚の再放流全面禁止を決めた新潟県にひけを取らないほどブラック問題が過熱している県です。
 その長野で、バスを擁護する立場の者と、バスに反対する立場である漁業従事者ら地元関係者との間で意見交換会が開かれました。バス問題の本質を考えてみたとき、問題解決にあたり最も重要なことは、あらゆる立場の人が話し合い、そして歩み寄りを行うことではないかと思います。そういった点でこの会合はとても意味深いことであると思います。
 まずはこの意見交換会の目的、内容についてご紹介しましょう。長野県農政部園芸特産課長から(財)日本釣振興会長野県支部に宛てられた案内状の内容を転載します。


(財)日本釣振興会長野県支部 様
                    
                            長野県農政部園芸特産課長

外来魚問題の意見交換会開催について(通知)


ブラックバス等外来魚問題については、内水面漁業における漁業調整上重要な問題であり、また、この問題については、有用論あるいは有害論等様々なご意見がある中でそれぞれの立場の意見を整理しながら望ましい漁場管理のあり方について検討する必要があります。つきましては、この問題に対し直接関係のある皆様方にお集まり頂き、それぞれの立場で忌憚のない御意見をお聞かせいただけたらと思い、下記により意見交換会を開催しますので関係者の出席についてご配意下さい。


1 開催日時 平成14年2月12日 午前10時から午後12時30分まで

2 開催場所 長野保健所 301会議室

3 参集者  県漁連、漁協、市町村、日本釣振興会長野県支部、長野県釣り団体協議会、園芸特産課水産係


 この意見交換会でFB's Societyメンバーである真嶋が、バスを擁護する立場で現在までのバスの放流の経緯、長野県内(特に諏訪湖)の現状などについて報告しています。当日の真嶋の原稿から、その内容についてご紹介します。


最初の日本における放流は
1925年 実業家・赤星鉄馬氏の尽力により帝大水産学科が芦ノ湖へ放流。
その後
1930年 長崎県白雲の池、諏訪池
1932年 山梨県山中湖
1935年 群馬県田代湖
1936年 兵庫県峯山貯水池
1946年 京都はGHQにより私邸へ
1959年 宮崎県持田池、小池(1960)
1960年 鹿児島県中原池(通称さつま湖)には鹿児島大学水産学部がバスを移植
以上が当時の公的機関、研究機関によるものです。(確実な資料が有る物のみ上げました)
1971年 千葉県東金市の雄蛇ガ池に釣り人によりバス移植される(別冊フィッシング)。
1972年 釣り具輸入業者のツネミ・新東亜グループによって米国ペンシルバニア州からバス
(ラージマウスバス)稚魚が神奈川県芦ノ湖に移植。
1973年 愛媛県、石川手ダムに移植、(芦ノ湖用の一部とされます)
1976年 新潟県、(場所、経緯不明)
1988年 4月17日、奈良県池原ダムにJLAA関西支部と下北山村役場がオオクチバス(ノーザ
ンラージマウス)の亜種フロリダバスを放流
1997年 JB・NBC、密放流した者は除名とすると宣言
2000年 1月、財団法人日本釣振興会「釣り人宣言」を発表、私たちはバスの密放流をしま
    せんと宣言。
    11月富山県にて違法放流の疑いで会社員書類送検。

 12月14日付の信濃毎日新聞(諏訪版)で漁協さんが99年近親交配を防ぐ為琵琶湖産のワカサギ約150kgを諏訪湖に放流したと書かれていました。
 実はこの情報、私も耳にしておりました。
 先の2001年9月20日、諏訪地方事務所で行われた会議の時、県水産試験場諏訪支場長さんが諏訪湖のバスは密放流の可能性が高いと強調した事に対し、私はアユやコイの放流時の混入も考えられるのではないかと反論いたしました。
 その時農政部の方が「琵琶湖からもワカサギ入れてますからね」とポロッと言われました。その時にはワカサギの放流は今までの常識では発眼卵放流ですから混入の可能性は無いと考えあまり気にしませんでした。
 しかし後になってその言葉が非常に気になり始めていると色々な情報が入って来ました。 金融関係のお客さんからは漁協関係者さんの話で、入れたのは一回ではないらしく数回、 放流前に一度水槽に入れたところ魚が二層に分かれ下は確かにワカサギだったが上は何の 魚かわからなかったそうです。(そのまま放流) 他のお客さんからも親戚の漁師さんの話として同じ事を聞いていたりと多数の証言が出てきました。
 もちろん県農政部には放流資料として残っている事でしょうから琵琶湖からの生魚放流は厳然たる事実という事になります。 (筆者注釈:この点に関しては長野日報1999年7月5日の記事にそれを示唆する内容が掲載されています。資料1参照)
 新聞紙上では県水産試験場諏訪支場さんの話として琵琶湖のような大きな湖ではワカサギとバスの生息域が分かれており混じる可能性は低いとしています、しかし諏訪湖は全体的に浅くバスとワカサギの生息域が重なるそうです。又、ワカサギは沖にすみ動物プランクトンを食べるため、雑食性で水草帯にいるコイやフナとすみわけができるそうです??(そんな都合良くすみわけたり混じったりするでしょうか)
 では琵琶湖固有種(琵琶湖にしかいなかった)で釣りでも食用でもあまり利用されていないワタカ、ヒガイ、ハス、セゼラなどの魚が全国各地にいるようになった理由はなんなのでしょうか?、大正時代に試験的に導入された外来水草のコカナダモ、オオカナダモが全国に繁殖している理由は?、外来種のタイリクバラタナゴが全国にいるようになったのはアユの放流に混じってといわれています。(生息域はまったく異なります)
ここからは私の個人的推測ですが、

1. 人口なぎさによってバスにとって絶好の産卵場所が出来た事と水質改善によりバスが繁殖できる条件が整ってきた。

2. 1999年、ワカサギ放流時の混入によってバスの大量放流、一回で150kg、ワカサギは成魚でも数g程度ですから一匹1gとすると15万尾、前述した層ができるほどの混入なら数万尾と推定されます。

3. それによって一挙に2000年の1万尾あまりの捕獲と言う結果につながった。

4. そして2001年はその一部が繁殖し9万8千尾の捕獲となりました。

 2001年の捕獲総重量が約2.5トンという事は一匹平均25.5g(10cm未満)となります、従ってほとんどが稚魚でそれ以外は20cmぐらいの2年魚(99年放流)とすべてつじつまが合います。

 今回の事でここ数年のバス問題での疑問がだんだん解けてきました。
 全国内水面漁連も一部研究者も個人の密放流ではこんなに増えるわけが無いから釣具業界の組織的放流があったに違いないといっていますが私がこの業界に入って17年、組織的なものは噂すら聞いた事がありません。(日本釣振興会も勿論否定しています)
個人の放流は噂で聞いた事がありますがまさに言うとおり個人の放流では大きな水域やバサー(バス釣り愛好家)にとってメリットが無い所、例えば公園の池、皇居のお堀、そして諏訪湖にいる説明がつきませんでした。
 諏訪湖は遊漁規則でリール釣りが禁止されています。一般的なバス釣りができない所にわざわざ法律を犯し、リスクを犯し、手間とお金をかけてバスを放流する人間がいるでしょうか、1999年の捕獲が約70匹、それが2000年の1万匹あまりの捕獲になるには一年間に数万匹の放流が必要になります、それが論理的にできるでしょうか。

 ブラックバスを含め色々な水生生物の拡散の主な原因はヘラブナ、コイ、マブナなどの放流、(野池養殖、網いけす養殖からですから十分他魚種の混入の可能性あり)アユ、ワカサギの琵琶湖などからの生魚放流などです。
 ところが公共機関や、本来公平でなければならないメディアが密放流と言う言葉をあまりにも簡単に使っているのではないでしょうか。
密放流と言う事は誰か犯人がいると言う事になりしかもそれが特定のグループの中にいるとなります。
 しかも現在においては違法行為とされる事となりますから証拠も無しに特定のグループの誰かが犯罪者と言っている事となります。
 密放流という言葉を簡単に使うとそれ自体が違法行為となります。

 次にバスによるワカサギ被害の報告は全国で殆どありません。
 減少し疑われた湖沼として河口湖と榛名湖は餌となるプランクトンの減少(山梨県種苗センター、群馬県水産試験所報告)、野尻湖は逆にプランクトン増殖によって、いるけれども釣れない状態(県水産試験所)、木崎湖はキザキマスの食害、霞ヶ浦では他の外来魚の影響(ぺへレイ、ブルーギル)と護岸によるもの(茨城県水産試験場報告)でした。
 調査資料の中での霞ヶ浦の調査が諏訪湖と環境が良く似ていますから大変参考になります。それによると霞ヶ浦総合開発事業と言う巨大開発により、自然湖沼にふさわしい環境が 損なわれれば、外来環境が造成されそれに適応できる種が繁殖し勢力を拡大したとしています。バスによってワカサギが減った、エビが減ったとは一言も書いてありません。諏訪湖でもこのようなきちんとした調査した後に議論すべきではないでしょうか。
 ただバスの腹を裂きワカサギが出てきた、エビが出てきたと言って何が分かるのでしょうか、ためしにナマズやアマゴやウグイも腹を裂いて見てください。コイやフナも見てください。それでどんな事が分かるでしょうか。「やはりいるものを食べている。」あたりまえでしょう!。
 外来魚問題とは内水面におけるすべての釣り、漁業に関わります。なぜならば私達釣り人が相手とする魚たちは殆どが移入種、外来種です、やはり、漁業対象魚も殆どが移入種、外来種です、元々いなかった者だからいてはならないとの理論では殆どの魚がいてはならなくなってしまいます。
 バス問題は色々な思惑の絡んだ複雑なものとなってしまいました。
 一方的な情報のみでおこなってしまった行政では何も解決する事はできません。
 本県において外来種とこれからどのように付き合って行けば良いのか、どんな理由であれ現在そこにいる事実は動かせません。利用すべき所、制御すべき所、どうすれば利用できるか、どうすれば制御できるか、無意味な感情論は無くし皆で考え協力する事ができたなら内水面での他の諸問題も解決できるのでは無いでしょうか。
 色々と事例を申し上げましたが御一考の助けになれば幸いです。


 真嶋の報告のほかに様々な立場の方々が意見を出し合い、何か新たな方策が決定つけられるまでの成果はなかったものの、「意見交換」という意味では有意義なものに終わったそうです。
 この会合の内容を含めて長野県内のバス問題についてまとめたものを、長野朝日放送の報道番組「ABNステーション」で2002年2月14日、PM6:17頃に放送されました。
 しかし残念ながら我々から見るとその番組の内容は、事実を大きく歪めて製作されたものとしか思えないものでした。
 もう一度、真嶋の意見交換会の発言内容を振り返りながら検証してまいります(繰り返しになる部分がありますがご了承下さい)。
 
 まず、真嶋は先の原稿通り以下の2点について意見交換会で発言しています。
(1) バスの拡散は釣り人の密放流だけではないであろう。他の魚に混入して放流されるケースも充分ありうる。実際、諏訪湖の例も検証してみるとこの可能性が否定できない。

(2) バスの食害に関してはきちんと調査を行うベきであり、バス以外の原因も追求してきちんと検証するべきである。

 また、真嶋の原稿にはありませんでしたが、当日は様々な立場の方から以下のような意見が出されています。
(3)ある釣り人からはゾーニングの提言があり、その他にも野尻湖関係者からは儲かっているし困っていない、松原湖漁協からはバスを300円で買い取るのに500円の入漁料を払わない者がいる、天竜川漁協からはリリース禁止にしたらどうか、千曲川漁協からは寒鮒が釣れなくなっている、深みにいたバスを40尾ほど捕まえたことがある、木崎湖からはタナゴなどの在来種も増やしたい、また別の釣り人からは環境を整えることが重要なのではないか、税金を無駄に使うのはいかがなものか、木崎湖では釣り人と漁協がうまくやっているなどの意見が出され、最後に下伊那から漁協にも色々な考えがあり0(ゼロ)にすることは不可能なのだから現実的な提案をすべきではとの意見もあったようです。

 また、当日の資料には以下の文を載せ、長野朝日放送から取材を受けた際にも真嶋は記者に対し次の様に発言しています。
(4) 公共機関や、本来公平でなければならないメディアが密放流と言う言葉をあまりにも簡単に使っていることは問題である。密放流と言う事は誰か犯人がいると言う事になりしかもそれが特定のグループの中にいるとなり、しかも現在においては違法行為とされる事となりますから証拠も無しに特定のグループの誰かが犯罪者と言っている事となります。密放流という言葉を簡単に使うとそれ自体が違法行為となるのではないか。

 以上の(1)〜(4)の明らかに意見交換会内で発現されたものが番組内で反映されておらず、それどころか都合の良いように編集されているようにも見受けられたのが大きな問題だと考えられます。具体的に申し上げますと、先の(1)のように意見交換会中かなりの時間を割いて他魚種放流の混入の可能性について真嶋が述べたのにも関わらず、番組内では「バスの拡散原因は密放流以外の何物でもない」と明言されています。また真嶋は、釣り人によるバスの放流は確かにあったかもしれないが、他の原因を調べる必要性(先の(2))があるという発言をしたにも関わらず、番組が部分的に使用した真嶋の発言が与える印象は、さも釣り人が自ら「バスの拡散原因は密放流以外の何物でもない」ということを認めたようにしか視聴者に取られかねないように編集をされていました。
 著作権の関係もあり、映像をそのまま無許可でみなさんに配信することはできません。しかしながら、できる限りみなさんに番組の内容を知って頂きたく、番組内の発言、ナレーション、字幕などを文書化いたしました。以下にそれをご紹介いたします。


(長野朝日放送「ABNステーション」2002年2月14日放送分、ナレーション文書化 字幕含む)
タイトル:千曲川を襲うブラックバス
(アナウンサー) 
 県内の湖で、外来種のブラックバスが急激に増え、在来魚を食べてしまう被害が深刻になっていますがその猛威が最近千曲川にも広がっています。その現状を平野記者が取材しました。
(千曲川にもブラックバスの猛威)
(ナレーション)
 長野市の千曲川では昔からフナやコイ、ハヤなどが釣れ、たくさんの人達が釣りを楽しんできていました。しかしここ数年外来種のブラックバスが増え始め釣り事情もだいぶ変わってきています。
(平野圭佑記者)
 本流から離れたよどみでは、この時期でも休日になるとブラックバスを釣りにたくさんの人達が集まっています。
(Q.何匹釣れたか?) 釣り人 11時29分35秒
4匹ぐらいかな?今日は見えないけど天気の良い日はかなり見えますよ。
(Q.何年前から釣れるのか?) 
記者  どのくらい前から。 
釣り人 良くはわからないんですけど5〜6年前からですかね。
(一方従来からの釣り客は)
(千曲川での釣歴10年以上の**さん)今年は千曲川でアユを釣っている姿はほとんど見かけなかったですね、と言うのはみんな稚魚をブラックバスが食べてしまうからだね。
(ナレーション)
 急激に繁殖したブラックバスに頭を悩ませているのは、この場所を管理している千曲川漁協組合の人達です。若い年代を中心にブームになっているバス釣りはキャッチ&リリースが基本でブラックバスの数は一向に減らないのが現状です。  
(キャッチ&リリース 釣った魚を生きたまま戻す)
(千曲川漁業協同組合 勝山辰雄組合長)
この河川一帯はもうこの10年来うんと楽しめる、フナとオイカワとコイがね、釣り人に聞いてみるとここはもういないと、釣れないと言うことなんだね。
ナレーション 釣り客からの遊漁料金が収入の漁業組合ではフナなどの魚をなんとか守ろうと網を使ってブラックバスの捕獲に取り組み始めました。今月はおよそ40匹のブラックバスを捕獲したと言います。
(ブラックバスの捕獲、今月3日) (ブラックバス40匹捕獲)
りこうで網やるともうどっかに逃げて行っちゃう、ブッラクバスも簡単に捕獲できて0(ゼロ)に等しくなるほど採れるわけじゃないからね。
(ナレーション)
 一昨日ブラックバス問題を考える意見交換会が行われ県内の漁業関係者や釣り愛好家などが集まりました。
(外来種意見交換会、12日長野市)(勝山さんも出席)
 県内のブラックバスの被害は深刻で県ではブラックバスを駆除する方針で年間4000万円の予算を投じて駆除対策をしてきました。(駆除対策予算は年間4000万円)
 諏訪湖では去年4月から10ヶ月間でおよそ10万匹のブラックバスが駆除されています。
(諏訪湖、去年4月〜今年1月、9万9000匹のブラックバス駆除、全体の96%を占める)
 諏訪湖やその周辺の漁協関係者から被害の実態が報告されました。
(漁協関係者) 
ブラックが1kgに成長するのにはだいたい4倍から5倍の他の魚種を捕食すると、ま、言われています。
(ブラックバスは1kg成長するのに4〜5倍の他の魚を食べる)
エビは4分の1に減りました。一番食べる魚種です。
(諏訪湖ではエビの漁獲量が1/4に減った)
(ナレーション)増殖の原因の一つは釣り客の密放流とも言われています。その為会議では釣り人達の責任を問う意見が相次ぎました。
(漁協関係者)
秋になりますとみんな水を払うんです、しかしリンゴを入れるコンテナで実に6杯も入っているんですね。
(溜池で水をぬくとリンゴのコンテナ6杯分のブラックバスがとれた)
これは密放流以外の何物でもない。
(原因は密放流以外の何物でもない)
ナレーション しかし釣り愛好家からは反論が上がりました。
(釣り具店主)
密放流と言うものがあったのかもしれない、ま、あっただろうしでもそれ以外のものもあるということを十分認識した上で日本にいるこの魚とどう付き合って行くかって事を考えていかなきゃいけないと思うんですよね。
(密放流はあったかもしれないが、それ以外の事も認識し、ブラックバスとどう付き合うか考えるべきだ)
ナレーション 勝山さんも先日捕獲したブラックバスを持参し千曲川での被害を訴えました。
会議では新たに具体的な対策は決まりませんでしたが、県水産試験所は被害を深刻に受け止め、明日、千曲川でのブラックバスの生息状況の調査をする予定です。
(県、明日ブラックバスの生息調査を実施)
(勝山さん)
一匹でも増えないよう努力して、0に近づくように努力していくしかしょうがないと思います。
ナレーション 元の環境を取り戻したい漁協関係者と、あくまでバス釣りを楽しみたい釣り人、
双方の主張が対立している為、解決策を見出すのはなかなか難しそうです。
アナウンサー 千曲川が特殊なケースではなく、県内では他にも天竜川を始め他の河川で           も増え始めていると言う報告があります。
(以上、「ABNステーション」から)


 当然ながら、当事者であった真嶋はこの事態に憤慨し、以下のような内容で電話広義を行っています。この電話の抗議の内容を掲載いたします(番組後、真嶋はすぐに長野朝日放送局に電話しましたが、担当記者は本番中で応対できないとのことで、代理で出られた方に30分ほど猛烈抗議をしました。その後、本人からの電話を待ちましたが、一向にかかってこないため、午後、長野朝日放送局に改めて電話をして担当記者と話すことができました)。


(「電話抗議」以下真嶋の記録から)
真嶋「昨日の内容はどう言うことですか?場合によっては法的処置もとります。貴方は12日、何を聞いていたのですか?私があのインタビューのとき何を言ったか理解してますか?どんな被害があるんですか?」

担当記者「ハヤが食べられるのを見ました。」

真嶋氏「被害、被害と言っていますが、野尻湖の組合長がなんて言っていたか覚えていますか?」

担当記者「覚えていません。」

真嶋氏「従来の釣り人のおじさんは学者ですか?(筆者注釈:番組中に出て来る地元の方)千曲川にどのくらいアユが放流されているかご存知ですか?冷水病は知っていますか?」

担当記者「いえ、知りません。」

真嶋氏「千曲川のバスはアユに混じっていた可能性が大きいのは知っていますか?」

担当記者「知りません。」

真嶋氏「諏訪湖のバスがどうして増えたか、私が説明した事は聞いていますか?」

担当記者「いえ。」

真嶋氏「なぜ諏訪湖でこんなに成果が上がったのかわかりますか?」

担当記者「いえ。」

真嶋氏「水抜きをしても泥の中に魚がいたり、上の池から流入する事はありませんか?密放流以外の何物でもないとテロップも入っていましたが、言いきれますか?増殖の原因の一つは釣り客の密放流といっていますがその他の原因を説明していますか?」

担当記者「してません。」

真嶋氏「この流れで私が密放流と言うものがあったのかも知れない。ま、あっただろうしでも
それ以外のものもあるということを・・・と言っていますが、これでは釣り具店主が密放流を認めたになってしまいませんか?それ以外が何を指すか視聴者にわかりますか?」

担当記者「わかりません。」

真嶋氏「私はあの時のインタビューで、密放流と言う言葉を証拠も無しに使う事は、証拠も無しに犯罪があったと言っている事でこれは正しい事ですかと言ったはずです。あなたは何を聞いていたのですか?」

担当記者「・・・」

真嶋氏(等々と続き最後に)「私が言いたいことはすべて言いました。後は貴方がどうすべき
か、どうするのかを聞かせてください。」

担当記者「・・・・少し時間を下さい。こちらからご連絡します。」

(以上「電話抗議」やりとりおわり)


 しかしこの抗議電話以降1週間、担当記者からは一切連絡がありませんでした。そのため私たち達仲間(現在のFBユs Societyメンバー)は、この一連の報道に対して納得のいく回答が得られるまで断固として戦う意志を固めました。まず当事者である真嶋から担当記者および長野県内のマスコミ関係者に、公開質問状を2月22日付で送付しました。
 その公開質問状の全文を御紹介します。


公開質問状

長野朝日放送
報道部 平野圭佑殿
                          (有)らんかぁ倶楽部
                           代表取締役 真嶋茂  

 拝啓、早春の候、貴社ますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
さて、去る2月14日のABNステーションにおいて以下の放送の内容について、また番組中の
私の発言についてご質問したいことがありますので誠意あるご回答を頂きたくよろしくお願い致します。
尚、本件はネット上や他のマスコミなどにも同様の資料を送付致しますので念の為申し添えます。

放送内容 2002年2月14日 午後6時20分ごろ
1 まず千曲川を襲うと述べていますが魚が川を襲う事自体日本語としておかしくありません
  か。大げさな表現で問題を煽っているのではありませんか。
2 在来種を食べてしまう被害、アユの稚魚がみんな食べられてしまうとしていますが、
  その被害のキチンとした科学的データはありますか。
3 県は年間予算4000万円を投じてと言っていますが当日資料では、違法放流防止
  対策予算122万円(国捕1/2)、外来魚被害緊急対策事業予算416万2千円(国
  捕10/10)、外来魚駆除実証試験事業予算155万円(独立行政法人水産総合研究
  センターからの委託)、となっています、総額にしても693万2千円、県独自で
  はたった61万円になりますが明らかな誤報ではありませんか。 
3 諏訪湖でのバス急増の原因を、当日密放流以外のの可能性について説明申し上げま
  したがお聞きになりましたか、なぜその事実を放送されなかったのですか。もし確た
  る証拠も無いから放送できないとするならばそれは釣り人の密放流も同じではありま
  せんか。
4 増殖の原因の一つは釣り人の密放流とも言われていますと述べていますが放送中に
  その他の要因についての説明はありましたか。当日御配りした資料、及び発言にもあ
  ったはずですが。
5 この流れの中で私が「密放流はあったのかも知れない、ま、あっただろうしでもそれ
  以外の要因もあるということを十分に認識し」、と言っていますがこれでは釣り具店
  主が密放流がある事を認めたと視聴者にとられてしまいませんか。
6 私の発言のそれ以外の要因は視聴者にわかりますか。説明はありましたか。
7 会議では具体的対策は決まりませんでしたとしていますが当日、釣り人からゾーニン
  グの提言、野尻湖漁協さん、木崎湖漁協さんの発言、下伊那漁協さんの提言、県の公
  開討論会の予定などの放送はありましたか。会議内容の公平な放送はありましたか。
8 元の環境を取り戻したい漁協とあくまで釣りを楽しみたい釣り人と言っていますが
  この言葉自体に偏見や誤解を招く表現がありませんか。

私は当日資料を御配りして密放流と言う言葉を公共機関やメディアがうかつに使う危険性とそれ以外
の要因の具体的可能性を説明したはずです

(当日資料一部) 
ブラックバスを含め色々な水生生物の拡散の主な原因はヘラブナ、コイ、マブナなどの放流、(野池
養殖、網いけす養殖からですから十分他魚種の混入の可能性あり)アユ、ワカサギの琵琶湖などから
の生魚放流などです。
ところが公共機関や、本来公平でなければならないメディアが密放流と言う言葉をあまりにも簡単に
使っているのではないでしょうか。
密放流と言う事は誰か犯人がいると言う事になりしかもそれが特定のグループの中にいるとなります。
しかも現在においては違法行為とされる事となりますから証拠も無しに特定のグループの誰かが犯罪
者と言っている事となります。
密放流という言葉を簡単に使うとそれ自体が違法行為となります。

また、まさにあのインタビュー時にも「密放流は犯罪です、犯罪をキチンとした証拠も無しに公人が
あったとするのは正しいことですか」と言った覚えがあります。(録画ご確認下さい)その上でこの
問題を具体的に解決する為にこの魚とどう付き合って行くか考えるべきと述べさせて頂きました。そ
の趣旨があのような形で放送された事に対して上記質問に対する回答、私の言った意味をキチンと理
解した上での今回の会議の公平な報道、及び事実を歪曲した謝罪を要求致します。

2002年2月22日

(以上、公開質問状おわり)


 その後、数週間が経った3月20日、真嶋の元に回答書が送られてきました。以下、その全文をご紹介します。


公開質問状回答          02/03/18
(有)らんかぁ倶楽部
代表取締役 真嶋 茂様
長野市栗田989−1
長野朝日放送報道部
拝啓、早春の候、貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
さて、当社2月14日放送のABNステーションの内容について、ご質問頂きながら返答が遅れ、まことに申し訳ありませんでした。
丁寧な質問項目に対する返答への準備、定期の人事異動などが重なったためです。当方の勝手な都合ではありますが、どうぞご容赦下さい。
尚、回答の前に、今回の報道は「県内の湖沼で最近、問題になっているブラックバスの被害が、長野県を代表する千曲川にも及び、不安を覚えている関係者の実態を紹介し、解決策を探る姿を伝えるのが目的であり、バス放流の犯人探しがテーマでないこと」を前提として、ご理解下さい。ただ、こちらの本意でないとはいえ、弊社の報道に不快感と不信感を感じた点は非常に重く受けとめております。また、真嶋さんに取材現場で、直接、報道被害への懸念を訴えられながら、配慮が足りなかった点については、今後、取材の糧として生かしていく所存です。以下、回答です。

1 「千曲川を襲う」の表現ですが、千曲川の魚類を代表する生態系、釣り環境などに広く影響を与えるという意味で、用いました。キャッチ・コピーのため、短い文章で表現する制約のなかで、取材の発端になった漁協関係者などの危機感を表現したものであります。その危機感を伝えるため、結果的に煽動的と受け取れるような印象を与えたとすれば、本意ではありませんし、遺憾と考えています。今後は、そのような印象を与える表現にならないよう注意・努力したいと思います。
2 科学的データは、もっておりません。最初に取材した漁協関係者からせっかく放流した稚魚がブラックバスに食べられる。このままでは被害が広がりつづけるとの強い危機感を訴える証言を得ました。そうした証言の一端を伝えたものです。
3 当方の計算違いでした。お詫び申し上げます。
4 諏訪湖でのワカサギ放流に、ブラックバスの稚魚が混じっていた可能性がある事は会議で真嶋さんが指摘され、取材した平野記者はこの場で初めてそうした可能性があるという意見を知りました。ただ、これに対して県側からは、明確な回答がなかったことから、現時点で報道するには早計と判断しました。
5 6 7 「釣り人の密放流」について
取材の過程で、関係者から繰り返し同様の指摘があり、会議のなかでも県、漁協などの出席者は、釣り人の密放流について指摘していました。こうした関係者の意見・指摘を報道
しました。ただ、あくまで断定はできないため「密放流が原因とも、言われている。会議では釣り人たちの責任を問う声が相次いだ」として、出席者の中の声として、報道しました。決して、弊社が釣り人を犯人視している訳ではないことをご理解下さい。ただ、現実のそうした指摘があることも事実であり、ブラックバス問題の現状、県、漁協関係者と釣り人の関係を報道する意味では、必要と考えました。
また、これだけでは、一方的な意見になるため、会議のなかで、反対の意見を出された真嶋さんのインタビューを使いました。「まず一ついるという事実を議論しましょう。それには密放流があったのか?あっただろうし、それ以外のことを認識した上で日本にいるこの魚とどう付き合って行くか考えていく必要がある」とのコメントです。平野記者は、下線部の発言に、別の要因(ワカサギ放流の混入問題)が含められると考えました。また、釣り人側からの、解決策の提案としても意味のあるコメントだと考えます。
8 対策は決定しなかったものの、ゾーニング(住み分け)の提案はありました。上記、真嶋さんのインタビューで、指摘している部分ですが、その点については、放送時間の関係もあり、充分な時間は割けませんでした。同じ理由で各漁協の提言、公開討論会の予定も割愛しています。
9 「元の環境に戻したい漁協」は、取材で強く望む声を聞いていますので、問題はないと思います。「あくまで釣りを楽しみたい〜」については、「あくまで」との表現に強さが感じます。ただ、当日の会議を取材した限り、議論は感情的、平行線の色が強く感じられたため、両者を納得させる解決策を見出すのは難しそうとの認識を得ました。
                                敬具


 私たちFB's Societyはバスを非難することに抗議したいのではなく、貴重な意見交換会の内容を歪め、都合の良い部分だけをつなぎ合わせた作為的な番組製作に対して抗議したいのであり、長野朝日放送のマスメディアとしての姿勢に憤慨しているのです。
 ただバスの食害などを訴えるのなら、違う取材対象を選べば良い。意見交換会で様々な立場の方々から貴重な意見が出た、バスを擁護する側にとっても、反対する側にとっても有意義な会合であったにも関わらず、番組の作り手にとって都合の良い部分だけ選ぶと言う事は、番組企画の段階ですでに結論ありきで、非常に作為的であるとしか思えません。
 マスコミの仕事に携わる方に聞いたところ、番組製作や記事というものはまず結論ありきで構成を考えていくのが当たり前なのだそうです。ですから、製作の仕方などについて抗議を行うことは論点から外れていることなのかもしれません。
 しかしながら、ことバス問題の報道について振り返ってみると、ごく当たり前のようにバスの拡散が釣り人による密放流が全ての原因のように表現されています。きちんとした裏づけを取ることなく、どのメディアも右に習えで同じ表現を使う。バスは生態系を破壊するといったような表現も用いることも同様。バスは生態系に影響を及ぼす可能性はあっても、バス自身が毒素のように生態系そのものを崩壊させることはあり得ません。
 この間違った報道姿勢がどれほどバス問題を複雑化させていることか....。
 バス問題を広く社会的に認知させることは、非常に重要なことです。
 しかし、真実がいったいどこにあるか?通り一遍な報道姿勢で果たしてそれが見出せるのか?
 FB's Societyは引き続きこのようなマスメディアの報道姿勢を監視していくつもりです。

文責:佐藤 元章、情報提供:真嶋茂、安武敬明
(なおこの内容は「BassFishing 虎の穴!」で使用したものを一部手直しして使用しております)


資料1 長野日報 1999年7月5日掲載記事より
〈ワカサギ漁に新時代、諏訪湖
琵琶湖から稚魚輸送 漁協、画期的な「生きたまま」〉
諏訪湖での漁業を管理する諏訪湖漁業協同組合(原徳男組合長)は、今年度、諏訪湖の歴史では初めて、ふ化したワカサギの稚魚を輸送して諏訪湖に放流した。地元漁師にとって、ワカサギを生きたまま運ぶことは常識破り。最近のワカサギの成長の遅れを心配する組合員らは、今回に発想の転換を「諏訪湖の漁業に画期的なこと」と歓迎している。
今月に入り、琵琶湖から約150kgの稚魚を第一便として輸送。今回の生きたワカサギの搬入は、二つの湖での漁法の違いと輸送技術的な改良により実現した。
ワカサギはデリケートで傷つきやすい。琵琶湖では、網に魚がかかるのを待ち伏せする定置網漁で水揚げしている。諏訪湖のような投網漁などでは、よほど扱いに注意しないと、うろこが取れて死んでしまう。
ワカサギ輸送を請け負った滋賀県鮎苗出荷組合は、全国に向けアユ稚魚の出荷で実績がある。同組合は「琵琶湖にワカサギは、アユ漁で一緒に取れてしまうという魚。これまで無駄にしていたが、温度管理など工夫して生きたまま運べる技術が開発できた」と話す。
諏訪湖特産物のワカサギは、大正時代に卵を持ち込み養殖を開始。その後、ほかの湖から卵で入ったことはあったものの、稚魚で入れたのは初めて。
これにも長所、短所の両面を抱えている。利点は、卵の場合はふ化しないものもあって効率が悪いが、稚魚はその年の冬の採卵もでき即戦力になる。一方、大きな不安点はワカサギ以外の、特にブラックバスなどが混入すること。
ほかの魚の混入について搬入業者は、魚の大きさで選別しており、成長の過程を考えると、この時期、ワカサギの稚魚と一緒にブラックバスなどが入り込むことはない、としている。また、水槽内での浮き沈みなど魚の習性を利用して、手作業でも選別しているという。
県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)では、資料のため一部をサンプルとして持ち帰った。初荷の到着に立ち会うため、組合員たちも姿を見せた。実際に水槽をのぞき、「本当に生きているぞ」「これはでかいな」と、五センチほどの稚魚が群れを作って水槽内を旋回する姿に驚いた様子。諏訪湖に放し、元気に泳いで湖中に消えていくとほっとした表情を見せた。
原組合長は「ワカサギの状態は予想以上に良かった。ワカサギを確保して、諏訪湖の採卵技術で卵を安定出荷したい。今後も検討していきたい」と話している。

関連サイト:
らんかぁ倶楽部 http://www.lcv.ne.jp/~syajg/LUNKER.htm
やすたけワールド http://www.dia.janis.or.jp/~yasutake/
BassFishing 虎の穴! http://www04.u-page.so-net.ne.jp/cd5/motosato/top.html

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