FB's Societyが目指すゾーニングプラン 〜千曲川のバスを救おう!〜


はじめに

 2000年9月10日、財団法人日本釣振興会がバス公認釣り場増設100万人署名運動を開始し、同年11月、自民党水産基本政策小委員会に水産庁からバスの「すみわけ」案が提出されました(年表参照)。この頃からブラックバス問題の議論の中に「ゾーニング」や「すみわけ」という言葉が使われるようになりました(ここでは「ゾーニング」と「すみわけ」をほぼ同じものと捉え、話を進めてまいります)。
 一般的にひと口に「ゾーニング」と言ってもその解釈は人それぞれのようです。大まかに「バスがいてもよい水域(公認)」と「バスがいてはいけない水域(非公認)」に分けることという点においては異論がないと思いますが、「とにかく公認釣り場(魚種認定も含めた)をたくさん作って欲しい」という極めてバサーの要望の強いものから、「公認釣り場以外は全面駆除、かつキャッチ&リリースも禁止」という厳密な棲み分けまで、それぞれの立場で様々な考えをお持ちの方がいらっしゃるようです。
 一方で当然のことながら、「ゾーニング」そのものに反対する意見も多く、バスを含む外来魚の完全駆除を訴え、これを実現しようとする動きも活発化しています。しかしながら、在来希少種や漁業対象魚種の減少が各地で深刻化している現在、この問題を解決するための手段として、「ゾーニング」が一つの選択肢となりうることは冷静な方ならば異論はないでしょう。


FB'sの考えるゾーニングとは

 そういった中で我々FB'sはゾーニングについてどう考えているか。
 FB'sが考えるゾーニングは、「バスによる捕食が環境の悪化に伴う在来魚種(希少種を含む)減少にさらに追い討ちをかけるような可能性が考えれる(それが証明されていればなお結構)水体、あるいは漁業等に悪影響を及ぼす可能性が否定できない水体で、地元との話し合いの結果、バスを必要としないと判断された場合、バスを利用しようというコンセンサスが地元からとれている水体(公認釣り場)に移植すること、またそういった水体(公認釣り場)を作っていくこと(受け皿としての機能をもつ水域を増やす)」です。そしてその目的は、未来永遠に誰から見てもバスフィッシングが健全なアウトドアスポーツであり続けること、またそれを位置付けてゆくことです。
 そしてここでFB'sが考える最も重要なキーワードは「地元とのコンセンサス」です。 つまり、その水体に関わる多様な人々(釣り人、地域住民、自治体、漁業者、ボート屋さんを含む観光関係者など)が、この水体における「バスとの関わり方」を話し合うことを何より重要なポイントと考えています。もっと広く捉えれば、バスだけでなくその水体自身の在り方を考える中で、「バスとの関わり方」があり、「生態系保護」、「在来種保護」があると考えています。
 我々FB'sはバスがいても良い「公認」か、それともいてはならない「駆除水域」か、全国一斉にこの二つに分けるオールオアナッシングの「まずはゾーニングありき」という考え方では、全国すべての水体で問題解決できないと考えています。全国の水体それぞれの地域性を考え、バサーは地元とのコンセンサスを取っていかないといけないと思うのです。水体に関わる地元の方々、あるいはその他の利用者に多種多様な関わり方があるからこそ、我々もそれを尊重した対応が必要だと思います。最初にゾーニング(棲み分け)論があって、排除水域を作る代わりにバスを受け入れる水域を認めさせるという考えでは、多種多様なケースに対応できないという考えです。
 また、FB'sは「ゾーニング」という結論に至らなくても、こんな水体があっても良いと考えています。
 ゴミや迷惑駐車が横行し、水抜きや釣り禁止になった池に出くわしたことのある方はたくさんいらっしゃると思います。もしこのような池で、地元の方とバサーとのコミュニケーションが円滑にはかられ、マナーの向上がなされていたとしたならばこんな結果にはならなかったかもしれません。こういった池で、地元の方々から「バスは在来種を食う害魚だ」、「バス釣りは悪い遊びだ」と語られていたとしても、問題の本質は「バス害魚論」ではなく、実は「バサー害人論」であると考えられないでしょうか。この「バサー害人論」を解決し、地元のコンセンサスが取れたならば、漁協が管理しておらず魚種認定をすることができない水体であっても、いわゆる「公認」の水域にすることなく、今後もバスフィッシングが続けられるのではないでしょうか。 地元、あるいはその水体に関わる多様な人々との話し合い如何で、その水体とバスの関わり方も様々あって良いという考えです。


意見を述べる時期は終わり、行動を起こす時期に来た

 秋月岩魚氏の「ブラックバスがメダカを食う」の刊行、あるいはTV、新聞などの報道により、ブラックバス問題はこの数年間で充分、社会問題として認知されました。そしてこれを受けて行政は対応をすでに始めています。
 1999年12月28日、新潟県では釣った外来魚のリリース禁止に踏み切りました。また一番最近では、滋賀県が琵琶湖において2002年6月17日、外来魚の「キャッチ・アンド・リリース」を禁止する条例案を9月の県議会に提案する方針を決めています。
 その一方で釣り人側の動きはどうでしょうか。残念ながらインターネット上の議論だけが進み、実際に解決に向けて行動に移そうとする動きはなかなか見受けられません。先述のような地元とのコンセンサス取りを考えたならば、問題解決のため全国各地で釣り人による大きなムーブメントを作り出す必要があるのではないでしょうか。
 このサイトのトップページでも述べましたように、我々はいくつかのゾーニングプランを持っています。そしてすでに行動を起こしています。その内のいくつかのプランの進行について報告してまいります。我々FB'sの報告が全国のまさにこれから行動に移そうとしているバサーのみなさんの参考になれば幸いです。


千曲川で駆除されるバスを救おう!

 最初にご紹介するFB'sのプランは長野県千曲川です。千曲川をご存知ない方のために、少しこの川についてご紹介します。
 千曲川は長野県から新潟県を通り「信濃川」と名前を変え、日本海へと流れ込む日本一の長さを誇る川です。最上流部の川上村にある伝説によると、「昔々の大昔、高間ヶ原に住む神々の間で大きな闘いがあり、このとき流された血潮によってできた川で、その血潮があたり一面隈なく川のように流れたので血隈川と言うようになった。」となっています。
 安武(FB'sメンバー)によると4〜5年前から千曲川の止水域においてブラックバスの生息が確認されているようです。現在は千曲川漁協を中心に、長野県の補助を受けながらバスの駆除が進められています。
 我々FB'sはあるきっかけでこの駆除されていく千曲川のバスを救い、バスたちが暮らしても良い場所への移植が実現できないかと考え、行動を始めました。


きっかけはあるTV報道から

 2002年2月12日、長野県で「外来魚問題の意見交換会」が開催され、真嶋(FB'sメンバー)はパネラーとして参加しました(資料室「揺れる諏訪湖」をご参照下さい)。そしてこの意見交換会と千曲川のバス問題を取材した内容が、長野朝日放送の報道番組「ABNステーション」で2月14日に放送されました。
 偶然にもその千曲川の取材現場に安武が居合わせていたのです。
 千曲川で取材が行われたのは番組放送2週前の日曜日、場所は須坂市の相之島にある「よどみ」でした。野尻湖が禁漁中のオフシーズン、安武は仲間と千曲川のこの場所によく出かけていました。この日もいつもと同じように釣りをしていたところ、千曲川漁協の方がテレビ局の報道陣を連れて取材にやってきました。
 そこで、漁協の方は安武たちにいきなり声を荒げながら、「ブラックバスがここに入っていることは君たちも同罪だ」、「ここで釣れたバスをキャッチ&リリースをすると県条例として30万の罰金となる」、「ここの在来の魚はみんなブラックバスに食い尽くされる」等と一方的に話され、安武たちの話に耳を貸さない状況だったそうです。
 この時、ひとつだけ話が出来たことは、ここで釣りをしても良いかどうかの確認だけで、この質問に対して漁協の方は認定されていない魚に関しては釣りをしてもいいが(認定されていない魚に関して遊魚券はいらないそうです)、バケツ等を用意して釣れたバスに関しては家に持ち帰り、捨てるようにとの指示でした。
 この事件をきっかけに、安武は川を管理している漁協がこのような駆除姿勢を取っている状況で、果たして釣りをしていた自分たちが悪かったのか、また今後はもう釣りをしない方が良いのか、帰宅後も同行していた仲間のみならず他の仲間とも議論しながら、しばらく悩む日々を送りました。



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"The Future of Bassing" presented by FB's Society / since May 21, 2002