東京海洋大学名誉教授・水口憲哉先生の主張を読み解く

 

聞き手:FB's Society 大串伸吾

東京海洋大学の名誉教授の水口憲哉先生が「フライの雑誌」の「釣り場時評」に執筆した記事を本にまとめた「魔魚狩り」は皆さんお読みになった方も多いと思います。そこで、出版と外来生物法の施行から1年以上がたった今、その後の動きも踏まえて本の中で強調されていた内容や、水口先生のバス問題への考えをインタビューしてみたいと思います。(20061021)

 

「魔魚狩り」が出版された後、話題の外来生物法ではバス釣り愛好家としては残念な事に、コクチバスをはじめ、ブルーギル、チャンネルキャットフィッシュなどと共にオオクチバスも指定される結果になりました。4回に渡る専門家小委員会の報告を考慮に入れることなく、大臣と言う省の最高責任者の一喝での決定と言う事ですが、外来生物法に対する先生の考え方としては魔魚狩りの中に、以下のような意見があると思います。

 

環境省自然環境局野生生物課編集の「ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響と対策」という全二二六ページの報告書のなかで「V、ブラックバス・ブルーギルが在来生物群集及び生態系に与える影響」の「3、生態系に与える影響」の部分を全文引用する。

『生態系(ecosystem)は生物群集とそれが成立している場所の栄養塩や水、デトリタス(落葉樹皮、動物遺体、排泄物)などの非生物的環境を合わせたものとして定義され、生態系内ではエネルギーの流れや物質の循環が生じている(宮下・野田、二〇〇三)。ブラックバス・ブルーギルが侵入・定着することで、本邦の湖沼生態系がどのような影響を受けているかについての知見はほとんどなかったが、近年、埼玉県のため池で行われた実験によって、ブラックバスの捕食による影響が直接的にあるいは間接的に他の生物群集へと波及する事が検証された(Maezono and Miyashita, 2003, in press)。今後はエネルギーの流れや物質環境も視野に入れた包括的な研究の実施が期待されている。」

後段の英文論文は検討できないが、そのことと関係なくこの文章は、同法第二条第2項、「この法律において『生態系などに係る被害』とは、生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害をいう。」にブラックバスが全く該当しないことを証明している。

そうであるが故に、パブリックコメントに提出された個別の種の選定に係る意見総数八三五一件のうち85%がブラックバス等の指定に関する反対意見であった。まさに王様の耳はロバの耳であることを地でいっている。こういったことをマスコミは殆ど取り上げず、知らせない。

 

環境省をはじめ国会の法制局、マスコミみんなでウソを言い続け本当にしようとしている。小さな溜池の生物群集で起こっていることを全国の河川湖沼の生態系にまで拡げるという二重の虚構、これこそウソの全国制覇と言わずに何という。このような虚構もみんなでつき合えば怖くないということか。日本の経済や軍隊にも同様の恐ろしさを感じる

[王様の耳はロバの耳 p186 9行目からp187終わりまで]

 

(編注: 皇居外苑の牛ヶ淵濠での掻い掘りの結果から)D琵琶湖や霞ヶ浦など大きな湖では、ブラックバスの繁殖によってそこに以前から生息していた魚類が食い尽くされて減ってしまうというようなことは起こらないが、小さな池沼ではその可能性も否定できないと考えていたが、小さな池沼でも環境条件が厳しくブラックバスも生きるのがままならないところでは、在来種の減少も起こらないということがわかった。

[ブラックバス駆除騒ぎに感じる気味悪さ p161 3行目〜6行目]

 

宍道湖の水環境は維持され、淡水化も阻止したので、今はまだいい状態が続いていてシジミがとれる。現在ではさらに、既に作られた堤防を開削する動きが始まっている。流入する斐伊川などにはバスがいて、大雨が降ると宍道湖にも入ってくるが、そうでなければ宍道湖には棲息しない。これがもし宍道湖を淡水化し干拓していれば、霞ヶ浦や八郎潟のように結局はバスが増えていく。実はそこのもともとの環境を維持すれば、バスは増えられないということの、一つの証明でもある。(中略)

話題になっている琵琶湖にしても、最初湖に入ってから十年以上、バスが隠忍自重して姿を現さない時期があった。しかし琵琶湖総合開発で環境が大きく変えられ、水位変動が激しくなって岸の植物もなくなり汚染も進むなかで、バスが爆発的に増えた。そしてさらに環境が悪くなるとバスも棲みにくくなり、同時にほかの魚もみんな減っている、というのが現状である。これは霞ヶ浦でも先に起こったことだ。

環境を維持しさえすれば、バス問題は起こらないし、在来魚も減少しないということをこれらの例が明らかにしている。開発や大型の公共事業が、水やそこに棲む魚の生活に大きく影響していることがよく分かる。(中略)

これは世の中、なんでも善悪で決めようとする風潮と関係がある。実際には、環境省のレッドデータブックでは、在来種や絶滅危惧種の存続を脅かす原因の九五%は開発その他、埋め立て、汚染だと明らかにしている。原因の九五%である開発よりも残り五%のブラックバスなど外来種が悪いんだという、非常におかしなことが起こっている。

四番目には、環境破壊の責任逃れや焦点ぼかしにブラックバスが使われていること。サツキマスでもアオサンゴでもシジミでも尺アユでもムツゴロウでも、それを減らす原因は開発だということは、みんな分かっている。けれども絶滅危惧種や在来種の減少、生物多様性の変化という現象はなかなか分かりにくい。それを引き起こした開発といっても特定できない。そうなると、代わりにブラックバスという外来魚に、全部責任をおっつけてしまおうということになる。これを濡れ衣、えん罪として何と言うのか。

[お粗末な政治と科学と、外来種新法 p190の10行目〜p196の7行目]

  

このような立場で、ブラックバスによる「小さな池での結果をそのまま他の湖に応用する安易な考え方」は無理があるし、ブラックバスが日本の生態系に与える影響をはっきりと証明した研究成果は移入から80年経った現在でも存在しないと考えている。もともとの環境を維持することが重要な事なのに、在来種や絶滅危惧種の生き物に対してオオクチバスは悪だという、はっきりとそれら在来の生き物達を減少させてきたものが何であるのか分からない(一つ一つを特定できない)が故に、その減少にかかわった可能性のある関係者やよく問題を理解していないマスコミから、濡れ衣、えん罪を着せられてしまっている。全国一律に規制対象とする特定外来生物にすることには疑問だ、という考え方だったと認識してよろしいでしょうか?

 

水口:

 それでよいと思うのですが、あの騒ぎや、この本が出てから1年半経った現在、このような考え方が社会的流れの中でどのような意味をもったのか、ということを考えさせられます。

 

 大串:

また、水口先生はバス『擁護派』として記事に取り上げられることがありますが、オオクチバスの有効利用を積極的に発言しているというより、問題にする水体のあり方、釣り場を確保する方法を考えるうえで、バスが必要ならば利用すればよいし、多様な釣り場があるべきだと発言していると思います。

 一 多様な釣りを楽しめる釣り場を確保する事がまず大切に考える。それゆえ、川はどこでもアユ、池や湖は どこでもヘラかバス、渓流はニジマスといった画一化を否定する。

 

二 在来純潔主義や自然繁殖至上主義はとらない。しかし、そのような釣りをしたい人々が満足できる釣り場も何%かは確保しておく。

 

三 若い人々の望む釣り、例えばルアーフィッシングの釣り場を十分に確保し、自分達で釣り場づくりをしてゆくような情報と人のつながりのネットワークをつくる。釣り業界に動かされ消費させられるのでないやり方で。

 

四 釣りというのは理屈や研究が巾をきかす世界ではなく、好みと遊びの世界である。それゆえ、人から与えられてやるのではなく、好みに従っていろいろなことを次々とやってみるのがよい。とはいっても社会も釣り場環境もいろいろ制約する。それはその都度考えてしのいでゆけばよい。

[魔魚狩り ニジマスは好きか嫌いか p107の13行目〜p108]

 

このような「画一化」ではない、地域に合った釣り場環境を構築していく姿勢をもった上で、バスについては以下のようにおっしゃっていますね。

@ブラックバスが日本にいてはいけない、絶滅すべしという考えはとらない。

 Aすでに漁業権魚種となっていたり、新たに漁業権魚種とする漁協の管理する水面では、他の水面に影響の
  ないよう利用管理していく。


 Bブラックバスの存在を望まない漁協の管理する水面や、漁業は行われていていないが生物多様性の保全の
  必要な水面(小さな湖沼など)では可能な限り駆除する。


 C釣り人は容認された水面以外でブラックバスが繁殖しないよう、または存在しないよう協力し行動する。

[「生物多様性主義」という虚構 p141の15行目〜p142の6行目]

 

水口:

上の一から四の考え方で、ブラックバスについては、下の@からCの具体的対応をするのが良いのではという提案だったが、特定外来生物法制度後この具体的対応が行われ、ゾーニング的な状況が始まりつつあります。

 

大串:

2001年に東京水産大学、(現・東京海洋大学)で行われた連続講座「ブラックバス問題のすべて」の第5回の話題提供人である森誠一さんが最後のまとめとして「段階的ゾーニング」という提案をされたようですね。

 

連続講座では森さんは最後のまとめとして、この問題に関する合意形成の一つの過程として「段階的ゾーニング」という考え方を提案された。その後の討論のなかで筆者は各地におけるブラックバスへのかかわり方の検討における具体的な進め方として、次のようなことを考えた。

ブラックバスの存在の望まない水体(川、湖、池沼等)ではブラックバスを駆除しブラックバスやブルーギルのいない一種の逆サンクチュアリ(外来魚排除水域)を作り上げる。いっぽう、ブラックバスとの関係をこれから維持していきたい水体ではそこのブラックバス等の外来魚をきちんと管理し、問題発生を抑える。

前者の代表例としては琵琶湖が、そして後者の代表例としては芦ノ湖が考えられる。そこで、全国各地において身近なそこの水体に関心をもつ多様なかかわり方の人々が話し合ってこの水体では両者のどちらかを選択するか決め、それを具体的に実現してゆく。結果として何年か後には全国的にゾーニングが実現している可能性がある。

[ブラックバス→琵琶湖→義憤むらむら p149の9行目〜13行目]

 

この考え方は、今の先生の考え方と変わりないものでしょうか?またオオクチバスの特定外来生物への指定を巡る、過去最大級のパブリックコメントと共に各都道府県でオオクチバス釣り客が地元に必要不可欠でオオクチバスをこれからも利用していきたいという趣旨の請願書、陳情書が40以上もの商工会から提出されました。この流れは、外来生物法が結果として段階的ゾーニングを進行させていると見ることができるのでしょうか?

 

水口:

まあそう言えると思います。現時点での大切な見方だと思います。長野県で現在進行しつつあることに注目すると、いろいろ参考になるのではないでしょうか。

 

大串:

97年に山梨県でコクチバスのリリースが禁止された日から今日まで(20067月)、10の都道府県でオオクチバス、ブルーギルを同様に規制する内水面漁場管理委員会指示と条例が指示されています。ハッキリ言って、一方的に協力を押し付けて自分の好きな魚を殺せと言っても素直に殺すバス釣り愛好家はほとんどいないと思います。実績として数字を挙げているのは琵琶湖ぐらいですし、それに当たったほとんどの人はバスを駆除する目的で釣りをしている人間であるのが実態だと思います。リリースと言う行為について先生は次のような立場でいらっしゃいますね。

 

リリースする人の考えは、大別して次の四つに別けられるだろう。

(1) 魚を殺したくない。この理由には、魚が好きだから、愛している、そして動物愛護などいろいろあるだろうが、後に述べるように釣りという行為そのものが魚を殺しいじめていることでもあるので一寸矛盾しているところがある。

 

(2) 食べたくない、食べなくてもよい、釣りを楽しめばよい。だからリリースする。これはブラックバスを釣る若者に多い考えかもしれないが、これに()の考えを言ったり次の(3)のような考えを付け加えるからややこしくなる。要は、バスフィッシングというのはそういうものだからリリースするということでしかない。これを文化だ伝統だと言うとさらにややこしくなる。アメリカではマス類はリリースするがバス類は食べることが多いとも聞いている。日本とは逆のようである。

 

(3) リリースすることにより資源を減らすことなく有効利用できる。資源保全により一尾の魚で何回も釣りを楽しめると言う事である。要は次の(4)と共に魚を減らしたくないのでリリースしている。

 

(4) 小さいものは放流して大きくしてから再び釣り取って楽しみをより大きくする、またはより値段の高いものにして資源を有効利用する。

 

以上釣りをする人が釣った魚をリリースするかどうかについては、殺すか、食べるか、リリースするかは釣った人の自由という現状では、他人がとやかく言うことではない。要は、殺生したくない、菜食主義者である、より釣りを楽しみたい、そしてその他の考えで、それぞれが勝手にやればよいのである。

ところが、新潟県、岩手県、秋田県では内水面漁場管理委員会の指示で、滋賀県ではレジャー関連の県条例でブラックバスやブルーギルのリリースが禁止されている。しかし、これらのリリースの法的規制は釣りを楽しむという観点から言えばとんでもなくおかしく、かつ禁止の目的を考えれば間抜けなものといえる。

[リリースを法的規制するのは、とんでもなくおかしく、間抜けだ p168の8行目〜p169の13行目]

 

(編注: 新潟、岩手、滋賀、秋田に続いて宮城や長野でも検討が進められていることについて)
 漁業者や行政がブラックバスを漁獲(駆除)することに反対するものではない。ただし、釣ったバスをリリースするバスアングラーにリリースするな、殺せというのはおかしい。釣ったバスをリリースするか、殺して食べるか、他の湖沼(例えば河口湖)へ放流するかは釣った人の選択の問題である。それよりもリリース禁止は角を矯めて牛を殺す結果となる。

[ブラックバス駆除騒ぎに感じる気味悪さ p164 枠内から]

 

(編注: 2000224日、立教大学におけるシンポジウムに参加するに当たっての立場から引用)
 三 漁業調整委員会指示をもて遊んで、バス釣りをする子供達を犯罪人扱いする事に対して怒りをもっている。

四 少年達による少年のためのバスポンドづくりを応援するのが私たち大人の責任と考える。

[一億ブラックバスヒステリー p132 1行目〜7行目]

 

このように、一人一人独自の考え方をもつリリースと言う自由な行為が、規則で一まとめにされ、選択の自由を奪ってしまったことで、多くの人が反感と負担を抱えるという事態を招いたことが分かると思います。その影響を一番受けたのも実は、子どもたちであることも見逃せない事実です。

 

(編注:今後、外来種新法が施行されたとき)バスフィッシングが好きな子供が釣りをしたとする。環境省も釣りをしてはいけないと言ってはいない。子供はバスを釣り上げる。そうすると、リリースしたい。環境省はリリースしてもいいと言っているが、県の委員会指示でリリースは禁止になっている。どうすればいいか。子供によってはじゃあ、家で飼おうと思うかもしれない。しかし、今度は外来種新法で、特定外来生物を家に持ち帰って飼うためには国の許可がいるとされている(編注: しかも愛玩目的の飼育は禁止されている。以前から飼育していた場合の許可申請も締め切り)。子どもはそんなことをするわけがない。ということは、環境省は新しい法律を作って、釣ったバスを殺せと言っているわけだ。そんなめちゃくちゃなことはない。

[お粗末な政治と科学と、外来種新法 p204の13行目〜P2053行目]

 

大串:

私自身も新潟出身で、リリース禁止の委員会指示が出されたとき、高校2年生でした。車を持つ大人達は規制のない県外に出向き、地元の水辺ではバス釣り好きの子供達がバスを釣っては、やっぱり殺すようなことをしたくないのでリリースして、それを見ていたヘラブナ釣りのおじさんに怒られる、という事態が起こったと聞きます。その中にはバスタックルをシーバス釣りに流用して、河口で釣りをする少年達がいました。何を釣っているか訊ねたところ「バスじゃないよ、シーバスだよ」と答えられました。一言もバスのことを口に出してないのに「バスじゃないよ」と言われた事にショックを受けました。釣り場でリリースして何か言われた事があるかというアンケート結果には、子供と女性が注意されやすいという結果があるそうです。

リリース禁止が全くもって実効性のない不適切な規制であり、今後6県で指示されている内水面漁場管理委員会指示、4県の県条例によるリリース禁止は、今後その存在が厳しく批判されるべきだと思います。

 

水口:

リリース禁止処置がいかに馬鹿げているかは今さら言うまでもないが、そのことを長野県内水面漁場管理委員会の場で具体的に明らかにしてゆきたい。この点について、「フライの雑誌」(2006年初冬号)の釣り場時評で少し書き始めた。

 

大串:

結局、オオクチバス・コクチバスともに特定外来生物に指定され、法律が施行されるにあたり、判明した事もありました。今後について、先生はBasser誌で次のように発言されていますね。

 2005422日の閣議で政府はオオクチバスなど動植物37種を『外来生物法』の特定外来生物に指定する施行令を決定した。(中略)しかし、これまでより楽しく堂々とバスフィッシングをやり続けられる状況ができあがりつつあるのも確かな事である。これは、パブリックコメントに対する95000を超すバサーたちの意見や思い、そして釣り人全体の熱い運動が原動力となって、その力を利用できればという環境省の思惑もからんだ結果、次のことが明確になったからである。

「バス釣りとキャッチ&リリースを国は規制しない」

 このことを詳しく説明すると、松野頼久衆議院議員が提出した質問主意書に対して、415日に内閣総理大臣小泉純一郎名で答弁書が出たが、その内容が面白く、バサーにとって“してやったり”という文章がある。11の質問に答えているのであるが、その中には次のようなことが述べられている。

 

() この外来生物法はオオクチバスの“釣りそのもの及びいわゆるキャッチ&リリースの行為を規制するものではない”

() この法律及び“同法に基づく特定外来生物被害防止基本方針は、お尋ねの釣りそのもの及びいわゆるキャッチ&リリースの行為を規制するものではない”

 

国が小泉首相名で、バス釣りとキャッチ&リリースを正式に認知したのである。(中略)

国が法的に検討したら、バスフィッシングやキャッチ&リリースを法律で規制することはできないという結論になったということでもある。(中略)

 

 国が好きなようにと言っているのだから、これまでどおり粛々とバス釣り、リリースをして楽しめばよいのである。ただし、気にかかること、気にしなければならないことがいくつかある。それには次のように対応すればよい。

1.ブラックバスの移殖放流をしないこと。これは424日に芝浦工業大学で行われた「バッシンポジウム 21世紀における日本のバスフィッシングを考える!」における“バスアングラーの決意文”の第1項でもある。バス釣り場で今バスが釣れなくなってきているが、そういう場所では釣り人が放流したくらいでは何の意味ももたず無駄である。バスは増える時は増えるし、減る時は減るものなのだ。(中略)

 

 3.リリース禁止について。環境省は滋賀県が琵琶湖でやっていることに国がとやかく言えないと、当たらずさわらずにしているが、琵琶湖のレジャーに関する条例は罰則のない、つまり禁止することに法的根拠をもたないお願い条例なので、(編注:リリース禁止については)無視すればよい。さらに、新潟、秋田、岩手、宮城、神奈川、栃木については漁場管理委員会指示という有名無実なものなので適当に対応すればよい。

 

 4.ブラックバスを有効活用し、地域振興につなげようと言う動き。漁協、観光協会、商工組合、ボート組合などから市町村議会への請願や陳情が全国各地で次々と採択されている。そしてそれらは国へも伝えられている。地元自治体のこうような対応があると、それに対して環境省はその湖やダム湖を防除(バス駆除)の対象とすることが難しい。こういった湖や防除域に指定されない湖沼ではバスフィッシングを続けられるが、河口湖や芦ノ湖のように大量のバスを収容(放流)するための許可を新たに取得するのは無理そうなので、現在いるバスを減らさないようバス釣り入場者の調整をするとか、死魚をなるべく少なくする釣り方やリリースの仕方を検討しなければならない。バス資源の放流なしでの維持管理策を研究する必要がある。

 

5.放流なしでバスが釣れている霞ヶ浦などにおけるトーナメントの実施について。現在環境省で細かい規則を検討中のようであるが、防除に際しての釣り人の協力ともからみ、そう滅茶苦茶なものにはならないと考えられる。(編注:検討の結果。持ち出せる範囲の規制など含めて、おおよその点で今までどおり行えるようになった。)

 

 6.防除域と指定された、ため池などにおけるバスの駆除についてはいかんともし難い。ただし、そのような場所にはこれまでも関係者が好きに駆除していたのだが、これからは環境省のお墨付きがもらえるというだけでのことで「どうぞお好きなように」というしかない。ブルーギルやバスの駆除といっても釣りで獲るのが一番効率的なようである。ただし、釣ったバスは殺しますというのでは多くの釣り人の協力は期待できない。そこで環境省は釣ったバスは飼養の認めた4湖や管理釣り場に運んで収容するということも考えているようである(編注:この後、釣ったバスのそのような移動と放流は認めないことになった。)。これと5.(トーナメント)での細かい規則が関係してくる。防除域と指定された地域で釣り人が協力するかどうかは、こういった細かい対応も含めて地域ごとに釣り人一人一人が対応して決めればよいことである。

 

 以上、特定外来生物指定魚という烙印は押されたが、そんなことは気にしないで政府公認(そんなものは本当はいらないのだが)のバスフィッシング(キャッチ&リリースを含む)を楽しめばよいし、それがこれまでよりやり易くなったということである。

 [Basser 2005 7月号 月間バサーニュース p152〜p153から]

 

このように、外来生物法がもたらした結果は、オオクチバス、コクチバスというバスフィッシングの対象魚への、愛玩目的の飼育、譲り渡し、売り買い、輸入、移動、外部への遺棄、という行為の禁止という規制の強化と同時に、今まで風当たりの強かったこの釣りに、政府の方から事実上の公認がもたらされるという結果が得られました。最後に、今後バスフィッシング愛好家達が何をすればよいか、助言をお願いします。

 

水口:

 長野県の野尻湖や茨城県の霞ヶ浦でバサー達が取り組んでいることを全国に広げてゆくことが大切だと思う。これまでのおかしく、いやな事は気にしないで、楽しく堂々とバス釣りをしゆけばよい。

大串: 

このような流れで、日本におけるバスフィッシングは、風当たりが強いのは事実ですが、確実にあるべき方向に向かっていると思います。かつて山中の人の知らない池で無限にバスが釣れ続く楽園があったというのも、メジャーなバス釣り場で大型の魚がバンバン釣れたというのも、先人の夢だった。今後は規模が縮小してしまう事は仕方がないものと認め、釣りができる最低限のバス釣り湖を確保し、管理維持していくことを目標に、単なるバス釣り愛好家としてだけでなく、違法な行為がない様に注意の目と心をもち、持続的で管理可能な釣り場を守っていきましょう。

 

また『魔魚狩り』には水口先生が全国の問題が起こっている水辺を自分の足で訪れて見て、発言し、得た、日本の釣りにまつわる談話が多く盛り込まれています。まだ読んだ事のない方は、ぜひ手にとって読んでみてください。

今回はご多忙の中、数々の質問に答えてくださった水口先生に深い感謝を申し上げます。