中綱湖のワカサギ激減が外来魚の食害が原因であるとする
信濃毎日新聞の記事に対し、公開質問状を提出

去る平成15年11月24日の信濃毎日新聞に、長野県の仁科三湖の一つである中綱湖のワカサギが激減し、絶滅視されている状況の原因が外来魚の食害であるとする記事が掲載された。
以下、記事の内容を紹介する。


<信濃毎日新聞,2003年11月24日の記事より引用>
ワカサギ全滅?大町の中綱湖に異変 
 大町市の仁科三湖の一つで、ワカサギの冬の穴釣りで知られる中綱湖でワカサギがほぼ全滅したとみられることが二十三日までに、地元の青木湖漁協の調べで分かった。毎年、湖でワカサギを育てている同漁協は、卵からふ化したばかりの幼魚が近年増えている外来魚のブルーギルやブラックバスに食べ尽くされたのではないかとみている。このため今シーズンの穴釣りは解禁できない見通しだ。
穴釣り今期絶望視
漁協は外来魚の影響指摘  
(写真注釈 ワカサギがほぼ全滅したとみられている中綱湖。釣り人はブラックバスを釣っていた=23日、大町市)
 同漁協は今年四月、ワカサギの卵を例年並みの約三千万粒買い取り、湖の中のいけす状に仕切った場所でふ化させた。本来は、幼魚が泳いで仕切りを出て成長していくはずだが、その後魚影が見えず、秋口に試験的に網をかけても一匹も上がらない状態という。
 加蔵正一組合長は「卵のほとんどがふ化したことは確認している。直接の原因を突き止めたわけではないが、待ち伏せしていた外来魚が食べてしまったとしか考えられない」と話す。
 県水産試験場(東筑摩郡明科町)の担当者も「中綱湖はここ二、三年でブルーギルが急増している。証明は難しいだろうが、外来魚がワカサギを食べてしまった可能性が高いのではないか」と指摘している。
 穴釣りは例年、湖の氷が厚くなる一月か二月に解禁し、三月ころまで楽しめる。関西地方など県外からも愛好者が訪れ、近くのスキー場で滑った後に楽しむ人もいる。ただ、ワカサギの減少は昨シーズンも著しく、解禁前の試験釣りで二十匹以上釣れたものの、解禁後はほとんど釣れず、訪れた人も二十―三十人前後にとどまったという。
 大北地域の釣り愛好者には「外来魚が増えた以上、ふ化させるワカサギの数をもっと増やしてほしい」との声もある。しかし、加蔵組合長は「数を増やしても外来魚の餌になるだけ。来年以降もどうすればいいか…」と困惑している。
 中綱湖は南北に並ぶ三湖の間に位置し、面積約〇・一四平方キロと三湖の中では最小。北の青木湖、南の木崎湖でも地元漁協がワカサギの卵をふ化させており、木崎湖でもワカサギの減少傾向が見られ、青木湖では異常がないという。穴釣りは全面結氷する中綱湖だけで行われている。
 ワカサギとブルーギル ワカサギはキュウリウオ科の淡水魚で、動物プランクトンやユスリカなどを食べる。1915(大正4)年に霞ケ浦から諏訪湖へ移殖されて以来、県内の湖沼などに広く放流された。1年で体長6―10センチに成長。てんぷらや空揚げなどの食用需要がある。
 ブルーギルは北米原産のサンフィッシュ科の肉食淡水魚で体長10―40センチ。1960(昭和35)年に米国から日本に持ち込まれた。釣りブームに乗って違法な放流が相次ぎ、ブラックバスとともに全国の湖沼や川に広がった。小魚などを食べ、繁殖力が非常に強いのが特徴。
(以上、引用終わり)


これに対し、私たちFB's Societyは、以下の6点をもって信濃毎日新聞社に公開質問状を送付した。
公開質問状はこちら(PDFファイル形式,16KB)


(1) 今回の記事も含め、貴社の紙面では「外来魚問題」を取り上げられる事が他誌に比べ多い様に感じられる。ついては、その外来魚を釣ることを趣味としている釣り人を対象にした取材は過去何回、どのような状況のもと行なわれたかを明確にしていただきたい。

(2) 貴社の紙面では「外来魚」なる表現を度々用いているが、貴社の考える「外来魚」の定義を明確にしていただきたい。

(3) 貴社は本来その水域に生息していなかった種を人為的に放流する事は当該記事上{ブルーギル}について否定的な見解を示しているように思われるが、当該記事で害を受けたとされるワカサギも本来中綱湖はもとより国内淡水域には生息しない種である。このワカサギという種の生息について貴社の姿勢を明確にしていただきたい。

ワカサギ減少の原因として漁協は
「直接の原因を突き止めたわけではないが、待ち伏せしていた外来魚が食べてしまったとしか考えられない」とし県水産試験場は
「中綱湖はここ二、三年でブルーギルが急増している。証明は難しいだろうが、外来魚がワカサギを食べてしまった可能性が高いのではないか」
と述べている。
どちらもワカサギがいなくなったと言う事実だけでその原因として、憶測のみで外来魚の影響ではないかとしてしまっている、なおかつ水試で増えていると言っているのはブルーギルでそこから外来魚一般と思われているブラックバスが唐突に現れ「ブルーギルやブラックバスに食べ尽くされたのではないか」と表現されている。
その上写真の説明として「ワカサギがほぼ全滅したとみられている中綱湖。釣り人はブラックバスを釣っていた」とし読者にブラックバスが関与しているかの偏向認識を植え付けてしまっている。
全国的にもワカサギ資源減少原因として安易に外来魚とされた事があったが、その後の調査で他の要因の可能性を指摘されたのは山梨県河口湖、群馬県榛名湖、長野県野尻湖、など数多く存在し、逆に外来魚の食害が証明された事例はほとんど存在していない。
木崎湖では一昨年までワカサギ釣りが低調だったがこれはキザキマスによるものと指摘されている。
また白樺湖でも昨年、ワカサギ資源が激減したがバイオマニピュレーションの実験で放流されたニジマスが原因でないかと言われている。
今回の中綱湖でのワカサギ全滅は河口湖や榛名湖の事例、稚魚期に必要なプランクトンの不足、あるいは最近中綱湖で増加していると言われるキザキマス、ヒメマスの影響の可能性が考えられる。

(4) こういった事例、事実があるにもかかわらず推測のみで記事を書くことにより読者に間違った認識を植え付ける危険性を認識すべきでこの事についてどうお考えかお聞かせいただきたい。

(5) ブルーギルの拡散を釣り人による放流が原因と書かれているが、その情報を得た取材先と根拠を明確に示していただきたい。

ブルーギルは1960年、当事の皇太子殿下がシカゴ市長より贈呈されその後水産庁淡水区水産研究所に委託し繁殖させ滋賀県水産試験場と大阪府水産試験場に配布されました、その後も静岡県一碧湖、徳島県松尾川湖、高知県長沢湖、大橋湖、宮崎県の一ッ瀬湖等に放流され、滋賀県は淡水真珠の養殖実験を琵琶湖で、大阪府は全国の養殖業者(長野県にも昭和43年に稚魚400尾、成魚7kg)に配布しその後の拡散はアユ種苗、ヘラ、コイ種苗に混入したのが主原因と考えられます。
なぜならブルーギルは釣魚としての人気は全く無く主な対象魚とする釣り人は皆無である。

(6) したがって釣り人が拡散させたとのこの記述は証拠も無しに違法な事が行なわれそれが特定の人たちによるものとされていることになり非常に問題であり重ねて貴社のお考えをお聞かせいただきたい。


これに対し、信濃毎日新聞社は平成15年12月19日、質問状送付者である真嶋の店、『らんかぁ倶楽部』を大町支局長で担当者氏である峰村氏が訪れ、一定の誠意を見せて頂いた。
今回の記事のみならず、現在までのマスコミのブラックバス問題に対する姿勢に対する私たちFB's Societyの意見を数時間に渡りお聞き頂くとともに、ある程度のご理解を頂けたと感じている。
FB's Societyとしては 今後も信濃毎日新聞に限らず、このような記事が出された場合、然るべき対応を取りながら、正しい情報・報道を取って頂けるよう活動していく。

(報告者:FB's Society 真嶋 茂,佐藤 元章)