2003年1月10日「意見を聴く会」レポート、
そしてFB'sが目指すもの



 キャッチ&リリース禁止が検討されている長野県で、県内水面漁場管理委員会の検討材料にするという名目で漁業団体、遊漁団体そして公募者からの意見を聴くための公聴会が、平成15年1月10日(金)に開催されました。
 この会でバスの遊漁団体として私たちFB's Societyから安武が意見発表を行いました。私たちの主張内容の詳細は後述いたしますが、けっして漁業者、県との対立の「溝」を深めるのではなく、釣り場環境保全において釣り人として漁業者、県と協力しながら行うべきであることを訴えました。
 リリース禁止というバスアングラーを縛り付けるような「規制」では何も始まらないのです。
 リリース禁止というものが、外来魚駆除や外来魚の生息域拡大防止策には到底なりうるはずもなく、この規制の施行は未来永遠に修復不可能なぐらい強烈な「溝」をバスアングラーと漁業者、県の間に作ってしまうことは明らかであり、何の意味も持たない不毛なもののはずです。
 意見を聴く会では様々なお立場の方が意見を述べられました。
 漁業者はもちろん、遊漁者からはヘラの方、アユの方も発表されました。アユの方からもヘラの方からも、そして漁業者の一部の方からも釣り人と漁業者、県とが話し合う場所の設定、あるいは協力体制の必要性を主張されました。傍聴していた私たちにとっても意外なことでした。しかしそれは内水面管理の現場で起こっていることが、そしてその現場に立つ者誰しもが感じる「現実」なのかもしれません。
 私たちの主張は提案書として県内水面漁場管理委員会に提出しました(※資料1)。そして1月17日に行われる同委員会の正式な議題として受理されました。その裏には皆さんにご協力して頂いた署名と、県議会議員の西沢正隆さん(http://plaza21.mbn.or.jp/~nisimasa/)のお力添えがあったからこそできたことです。
 今回の様にバスアングラーが行政や県内水面漁場管理委員会に対し、公聴会で主張、また同委員会に対して提案書を提出する例は過去なかったと思います。
 しかし私たちの行ったことを例外にしてはなりません。署名に協力して頂いた方々へのご報告はもちろん、キャッチ&リリース禁止に危機にさらされようとしているバスアングラーの方々に読んで頂きたいレポートです。

※資料1  提案書(teiansyo.pdf PDF形式 12K)
      提案書添付資料(teiansyo_siryou.pdf PDF形式 20K)
      提案書添付資料1-1(teiansyo_siryou1-1.pdf PDF形式 92K)
      提案書添付資料1-2(teiansyo_siryou1-2.pdf PDF形式 188K)
      提案書添付資料2(teiansyo_siryou2.pdf PDF形式 20K)

<なぜ長野県でキャッチ&リリース禁止が検討されるようになったのか?>

 きっかけは一つの要望書でした。
 平成14年10月25日付けで長野県漁業協同組合連合会(提出者:中島昭一代表理事会長 この方は長野県の県議会議員でもあります)から漁場管理委員会宛に、同委員会で外来魚のリリース禁止を同委員会の指示として検討を望む要望書が提出されました。
 この要望書の趣旨は、外来魚の生息域拡大防止のためにすでに出されている、「外来魚の生きたままの持ち出禁止」(平成13年に出された県内水面漁場管理委員会指示)では効果がない、さらに踏み込んだリリース禁止が必要である、というものでした。
 これを受けた同委員会は11月14日、第180回内水面漁場管理委員会の議題として取り上げ、検討されることとなりました。またその過程で、検討材料として今回の「外来魚の生息域拡大防止規制に係る意見を聴く会」が開かれたのです(資料2,3)
 今回のキャッチ&リリース禁止の動きの重要な点は以下三点です。

1)県条例ではなく、県内水面漁場管理委員会指示でリリース禁止が検討されている。
2)その検討理由は、外来魚の生息域拡大防止に対する方策として「リリース禁止」が有効であろうということ。
3)県は「キャッチ&リリース禁止」ではなく「リリース禁止」と言い、釣る行為を制限するものとは一切考えていないこと。

 中島昭一氏の後に続き、諏訪湖漁協の中澤章氏(この方は県内水面漁場管理委員会委員でもあります)も同様に諏訪市長経由で同委員会に要望書を提出しています。(※資料4)
(これら背景については第180回内水面漁場管理委員会の議事録をご覧下さい。※資料5)

※資料2  外来魚の生息域拡大防止規制に係る意見を聴く会開催案内1(長野県HPより)
http://www.pref.nagano.jp/nousei/engei/happyou/gairaigyoiken.pdf
※資料3  外来魚の生息域拡大防止規制に係る意見を聴く会開催案内2(長野県HPより)
http://www.pref.nagano.jp/nousei/engei/happyou/gairaigyoiken2.pdf
※資料4  諏訪市民新聞2002年12月13日
http://www2.odn.ne.jp/future_of_bass/nagano_shomei02.html
※資料5  第180回内水面漁場管理委員会議事録(長野県HPより)
http://www.pref.nagano.jp/nousei/engei/suisan/kanriiinkai/180.gijiroku.pdf

<県内水面漁場管理委員会指示というものは何か?>

 昨年9月に決まり、今年4月からリリース禁止になった滋賀県琵琶湖は「県条例」です。一方、新潟では平成11年12月に、岩手では平成12年12月に外来魚のリリース禁止が決まっていますが、いずれも県内水面漁場管理委員会指示です(※資料6,7) 。 山梨、埼玉ではスモールマウスバスに限りリリース禁止になっていますが、こちらも県内水面漁場管理委員会指示です。
 条例はもちろん法律ですが、委員会指示は法律ではありません。
 しかし罰則は設けられています。新潟では「漁業法に基づき、一定の手続きを経て知事が指示を守るよう命令を発し、その命令に従わない場合には懲役1年以下若しくは50万円以下の罰金が科されます。」、岩手では「内水面漁業調整規則に違反した場合には、懲役6月以下、もしくは罰金10万円以下、またはこれらを併せた刑に処せられます。また、内水面漁場管理委員会の指示に従わない者がいる場合には、知事が指示に従うよう命じ、この命令に従わない場合に、懲役1年以下、もしくは罰金50万円以下などの刑に処せられます。」(※資料8,9,10)
 ではいったい、「内水面漁場管理委員会」とは何なのでしょうか?
 この委員会は、「漁業法」という法律で都道府県に設置が義務づけられているものであり、知事から独立して職権を行う行政委員会です。長野県では漁業を営む者を代表すると認められる者5名、水産動植物の採捕をする者を代表すると認められる者3名(この中に釣り人が入ります)及び学識経験がある者5名の合計13名の委員によって構成されています(※資料11)。委員会の仕事は、県内の内水面(河川・湖沼)における魚類の採捕及び増殖に関する仕事をしています。今回のように委員会指示を行ったり、魚類の増殖計画の作成や認定などの仕事があります。
 レジャースポーツとして釣りを規定する法律は日本に存在しません。漁業法の中で、漁の一部、あるいは漁の邪魔な存在としての「遊漁」として規定されるものしか存在しません。従って、私たち釣り人に関わる規制はこの「内水面漁場管理委員会」で決められ、各漁業がそれを持ち帰り、「遊漁規則」に反映させる仕組みになっています。
 そして肝心の「委員会指示」とは、 漁業法で規定されている内水面漁場管理委員会の権限の一つで、水産動植物の繁殖保護や漁場の使用に関する紛争の防止又は、解決等を図ることを目的として関係者に対して規制や制限等をする指示です。
 「遊漁(釣り)」をする者にとっては、ある意味県条例よりも恐い存在かもしれませんね。 
 今回の長野のリリース禁止は、この「内水面漁場管理委員会指示」で検討されています。

※資料6  新潟県リリース禁止内水面漁場管理委員会指示
http://www.ni-naisuimen.com/kinshi.html
※資料7  岩手県リリース禁止内水面漁場管理委員会指示
http://www.pref.iwate.jp/~suisan/h121218.html
※資料8  新潟県のリリ禁罰則(1)「ブラックバス対策」(新潟県HPより)
http://www.pref.niigata.jp/nourin/gt/gt3/
※資料9  新潟県のリリ禁罰則(2)「新潟県内水面漁場管理委員会事務局より頂いた資料」
http://www.ash.ne.jp/~saabin/blackbass/siryou1.html
※資料10  岩手県のリリ禁罰則 「ブラックバスに関する決まりとは?」(岩手県HPより)
http://www.pref.iwate.jp/~suisan/bass/bass-4.htm
※資料11 長野県内水面漁場管理委員会の組織(長野県HPより)
http://www.pref.nagano.jp/nousei/engei/sosiki.htm

<署名パワーの有効な活用方法>

 12月中旬から活動を開始し、1月10日現在で県内6,031名、県外10,911名、合計16942名分の署名を頂きました。ご協力頂いた皆さん、釣具店さま団体さま、本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 この署名の意味は、もちろん私たちFB'sの署名活動趣旨に賛同してくださったバスアングラーの数を表しますし、これだけの方が注目している問題なのだということを内水面漁場管理委員会や県に訴えることができる重要な役割をもっています。しかし、掲示板やメール等でご意見を多数頂いておりますが、琵琶湖の苦い経験から、署名の数だけで果たしてリリ禁を阻止できるのかという見方もできます。
 冒頭でも書きましたが、私たちの主張は提案書として県内水面漁場管理委員会に提出しました(※資料1)。そして1月17日に行われる同委員会の正式な議題として受理されました。その裏には皆さんにご協力して頂いた署名と、県議会議員の西沢正隆さんのお力添えがあったからこそできたことです。
 署名という後押しが、皆さんの支持が私たちの主張に力と正当性を与えてくれ、県議会議員の方を巻き込むことができました。そしてこれからも私たちは引き続き皆さんの署名パワーを預かりながら、行政に僕たちの主張を然るべき手段で、然るべき部署に伝えていきます。

<提案書を県内水面漁場管理委員会に提出した意味>

 先述のようにこのリリ禁規制の検討は、長野県漁業協同組合連合会の中島昭一氏が漁場管理委員会宛に外来魚のリリース禁止を同委員会の指示として検討を望む要望書を提出したことから始まりました。そして委員会の議題にかかり、検討が始まりました。
 私たちは意見を聴く会での意見発表の機会を得ました。しかし、ここで如何に良い意見発表を行ったとしても、単なる一遊漁団体の意見としか取り上げられない可能性は極めて高かったのです。そのため私たちは、中島氏や諏訪湖の中澤氏がやったことと同様に、提案書を同委員会の議題として受理して頂く方法を探り、結果、1月9日に受理して頂きました。
 このことで私たちの主張は、同委員会でリリース禁止の案件と同様の扱いを受けます。(「意見を聴く会」の一遊漁者の意見から一歩進んだ形とお考え下さい)
 この議題は1月17日の同委員会で議論されます。
 以上、長々と今までの経緯と私たちの活動状況についてレポートしました。では本題の「意見を聴く会」についてレポートします。

<外来魚の生息域拡大防止規制に係る意見を聴く会>

 この会は漁場管理委員会の委員が、遊漁者、漁業者、一般公募から県民の意見を聴くために開催された会です。従って、意見発表者や傍聴者を交えた議論は行われず、わずか10分間の発表の後、委員からの質疑に発表者が答えるだけの会でした。
 意見発表者を以下にお示しします(発表順。順番はクジで決定)。

1)吉川賞治(下伊那漁業協同組合)漁業団体
2)平林治行(諏訪湖漁業協同組合)漁業団体
3)関塚伸哉(がまかつファンクラブ長野支部)遊漁団体
4)小出武(信濃町在住)一般公募
5)中島昭一(長野県漁業協同組合連合会)漁業団体
6)安武敬明(FB's Society)遊漁団体
7)松木照武(野尻湖漁協)漁業団体
8)傘木克(大町市在住) 一般公募
9)近藤真樹(長野県釣り団体協議会) 遊漁団体
10)小山正道(長野県遊漁者連絡協議会) 遊漁団体
11)村上さよ子(松本市在住) 一般公募
12)真嶋茂(日本釣振興会長野県支部) 遊漁団体
13)加藤正一(青木湖漁業協同組合)

 上記のように発表者は漁業団体から5名、遊漁団体から5名、一般公募からリリース禁止に賛成を2名、反対を2名の計4名の発表の予定でした。しかしながら、一般公募者13名中12名がリリース禁止賛成で、反対者は1名しかおらず、小出氏のみの発表になっています。
 それではこれから発表者の論旨を簡単にご紹介します。安武の発表原稿はそのままリンクさせます。なお、発表者の原稿は後日、長野県のHPにて公表されます。詳細はこちらをご覧下さい。

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