自治体が進めるゾーニング事例 〜その2 大阪府〜

 島根県平田市の事例に続き、ご紹介する自治体が進めるゾーニングプランは、僕の故郷でもある大阪府です。
 大阪と言うと都市部ばかりのイメージが先行すると思いますが、ビジネス街から2,30分車を走らせれば田園風景が広がるところで、淀川とその以北のため池、大和川とその以南のため池、特に泉北・泉南、南河内地域には多くの野池やため池が点在しています。資料によると府内のため池は11,223カ所(総面積にして2,378ha)もあり、600平方メートル以上のため池は2,484カ所(北部338、中部281、南河内519、泉州1,346)で、大阪がいかにため池の多いところであるかがお解りいただけるかと思います。(平成13年、大阪府環境農林水産部調べ)
 僕がバス釣りを始めた20年ほど前は、電車を使って泉北の野池に通ったり、自転車で数十分かけて南河内地域のため池に通ったものですが、10年前には大きな池ならほぼバスがいるのではないかと思うくらいに生息域が拡大していました。「全国バスライギョ釣り場」をみると、紹介されている釣り場数は30ケ所に上っております。比較的容易にバス釣り場までアクセスできることから、大阪の少年たちにとっても、バス釣りは身近に自然に触れることができる趣味の一つとなっています(釣り禁止になる池が後を絶たないと聞いていますが....)。

 一方で淀川の「わんど」などを中心としたイタセンパラ、アユモドキ(※1.)などの稀少種の存在は、大阪でも見過ごすことのできない重要な問題です。他県の例にもれず、大阪でもこの稀少種の減少にあたえるバスやブルーギルの影響についての議論が絶えないようです。
 府内の内水面漁業については、北部を中心に9河川で漁業権が設定され、小規模ではありますが7漁協が存在しており、ため池などでは1漁協、コイやフナ、モロコの養殖を行っていて、釣り用ヘラブナ(カワチブナ)は全国1位の生産量となっています(漁業センサス、水産物流通統計年報、大阪府環境農林水産部調べ)。
 ため池の数に比して、このような漁協数でらいますから、大阪のバスに関わる問題は、先の稀少種減少との関わりについての議論と、ため池管理者や地域住民との間に起こっているバサーのマナー問題が大きくかつ重要なものと思われます。
 さて、その大阪では21世紀、都市や産業などが再生し、大阪に集い暮らす誰もが夢を持ち、夢をかなえる元気あふれる大阪づくりを目指し、この将来目標を農林水産分野から実現するため、今後10年間の本府農林水産行政の展開指針としての新ビジョンを、14年3月、発表されました。

 その新ビジョンの基本目標を実現するための6つの取り組み、そしてその中の『「みどり」の保全・活用の担い手づくり』で、外来魚や生物多様性という観点から見た注目すべき3つの項目が挙げられています。
(この新ビジョン、「大阪府新農林水産業振興ビジョン」次のページでダウンロードできます。http://www.pref.osaka.jp/kannosomu/vison_dl/dl.htm)

(1)「ためいけ環境コミュニティ」の育成の促進
 ため池や農業用水路は、地域の農業用水の確保はもとより、地域における貴重な財産となっていることから、地域組織や住民が主体的に維持管理することが大切である。このため、「ため池環境アドバイザー」等の参画のもと、「ためいけ環境コミュニティ」の育成を促進する
(2)「水辺環境リーダーの育成」
 淀川の「わんど」には稀少種が生息しており、その保全とともに淀川全体の環境を守っていくことに関心のある府民を「水辺環境リーダー(仮称)」として育成する。
(※2.「水辺環境リーダー」とは、魚を増やす活動を通じて、水辺の自然環境を保全・回復させることをめざし、指導的な役割を担う地域ボランティア。)
(3)「釣りインストラクター」の育成と外来魚専用釣り場の確保
 近年、釣りの対象となる、肉食性のブラックバスやブルーギルなどの外来魚が府内の内水面で繁殖していることにより、在来魚種が姿を消しつつある。このため、外来魚のみを隔離した専用釣り場を確保するとともに、「釣りインストラクター」を育成し、外来魚の駆除や釣りマナーの啓発を行う。

 以上のように、「外来魚のみを隔離した専用釣り場を確保する」とはっきり外来魚の「ゾーニング」推進が明記されたこと、また「ため池環境アドバイザー」、「水辺環境リーダー」、「釣りインストラクター」など府民ボランティアが水辺の環境保全の担い手であることも大いに注目すべき点だと考えられます。
 大阪府の考えている「ゾーニング」はあくまでも「環境に配慮した釣り場の整備」の一環です。大阪府はこの「環境に配慮した釣り場の整備」を実現化すべく、現在、具体的なプロセス、スケジュールを検討中です。ここをもう少し詳しくご紹介いたしましょう(先述のものと多少重複しますが、もう一度整理します)。

 まず、「目標と方向」として以下の3点を挙げています。
(1)在来魚を保護するため外来魚を駆除します。
(2)府民のレクレーションの場を提供するため外来魚専用の釣り場の整備を促進します。
(3)釣りインストラクターを活用し、釣りのマナー教育を行います。

 そしてその「必要な措置」としては、
(1)外来魚対策協議会の設置
(2)外来魚専用釣り場の整備
(3)釣りマナーの向上と外来魚の有効利用のためのボランティアリーダーの協力
 
 実現にあたってのプロセスと実施予定スケジュールは、
(1)外来魚協議会の設置(平成14年度)
(2)ボランティア団体の活用による実態調査の実施(平成14年度前期)
(3)ゾーニングプランの作成(在来魚・外来魚の棲み分け)(平成14年度前期)
(4)外来魚駆除、移植の実施(平成14年度中期)
(5)外来魚専用釣り場の整備(平成14年度中期)
(6)外来魚有効利用法の開発(平成14年度中期)
(7)インストラクターのよるスポーツフィッシングとマナー教室の開催(平成14年度中期)

となっています。

 先述の様にこのビジョンの注目すべき点であり、かつ重要なポイントは、府民ボランティアが水辺の環境保全の担い手であることであり、それはバスの「ゾーニング」においても同じでありましょう。いかにバス問題を理解している「釣りインストラクター」を選出し、育成し、「ため池環境アドバイザー」、「水辺環境リーダー」らとの連携を図りながら意味ある「外来魚専用釣り場の整備」ができるか....。バスが不用意に駆除され、必要十分な外来魚専用釣り場を確保できず終わるのも、稀少な在来魚を守るための水域からきちんとバスを移送し、少年達が十分に釣りを楽しめるだけの釣り場を確保できるかどうかも、この「釣りインストラクター」(ボランティアリーダー)の質にかかってくることでしょう。またそれ以前の水域の選出などにも関わるであろう、「外来魚対策協議会の設置」にも、可能な限り釣り人(ボランティア団体)が関わるべきだと思います。
 今こそ、大阪の良識あるバサ−が全面に立つべき時だと思います。
 今後、この「Bass Fishing 虎の穴!」でも引き続き情報の入手、公開に努めてまいります。
 行政を含めた有意義なバスの棲み分け「ゾーニング」が、ここで実現されることが、全国に波及させる影響の大きさを考えても、 是非、地元のバサ−のみなさんには頑張って欲しいです。
 「ゾーニング」、実現させたいですね!

※1
イタセンパラとは
 イタセンパラは、富山平野・濃尾平野・淀川水系の限られた水域にのみ分布する、わが国固有のコイ科(タナゴ類)の淡水魚です(最大約10cm)。平べったい体形と、大きな背びれ・しりびれが特徴的です。体色は、背中に青みをおびた銀白系ですが、産卵期(9〜11月)のオスには、青紫、赤紫や黒色の美しいがあらわれます。
 産卵期のメスは卵を抱くと、産卵管(乳白色)が腹部に伸びてきます。メスは産卵管を巧みにつかって、イシガイやドブガイなどの二枚貝に産卵します。秋〜翌春を貝の中で過ごしたイタセンパラは、初夏、貝から泳ぎ出て急速に成長し、その年の秋には産卵するという独特の一生を送ります。貝から泳ぎ出してしばらくは、動物プランクトンなどを食べて育ちますが、成魚は石などについた藻類などを食べ、2年ほどの寿命をおくります。
参考サイト「大阪工業大学水圏環境研究室」
http://www.oit.ac.jp/civil/river/kennkyuunaiyou/menu/kennkyuunaiyou-hyousi.html
「日本列島に生きる未来への遺産」 
http://www.kahaku.go.jp/special/past/nihon/infomation/chapter_4/itasen.htm

アユモドキ とは
 アユモドキはコイ目ドジョウ科の淡水魚で、琵琶湖の淀川水系と岡山県内の河川および農業用水路に生息しています。体長は最大で20cm位。仔稚魚期はプランクトンを、成魚になるとユスリカ、トビケラなど水生昆虫やイトミミズなどを食べます。1〜2年で成熟し、繁殖期は6〜8月。卵は直径1mmで、石の間や砂泥の上、水生植物の根の間などにばらまかれます。アユモドキは生息数が減少してますが、その主な原因は周辺地域の都市化や河川の護岸工事であると言われています。保護のために京都野生動物研究会など市民団体による地道な調査・研究がおこなわれています。
参考サイト「日本列島に生きる未来への遺産」
http://www.kahaku.go.jp/special/past/nihon/infomation/chapter_4/ayu.htm
「淡水魚の窓」
http://www.ingway.co.jp/fish/ayum.html


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